鈴木 翔太
コーチングフェスタ 2021
更新日:2021年8月30日
8月29日(日)にコーチングフェスタ2021が開催されました。
登壇されたコーチの方々からはエネルギーをいただき、内容も濃く非常に参考になりました。
ありがとうございました。
なによりこのコーチングが広がっていることが実感できたことが嬉しいです。
ということでこの記事では、私自身のコーチング活用例を紹介させていただきます。
私自身がコーチングを活用することで得られた成功体験もたくさんありますが、ここでは個人ではなくチームという少し抽象度の上がったところでの成功事例を紹介してみたいと思います。
私は現在、大阪府で少年サッカーチームをサポートしています。
サッカーコーチ(インストラクター)として具体的な指導に関わっています。
元々はいじめ問題の解決などに興味がありましたが、これから社会を担っていく子供達の教育に、コーチングを用いて何らかの形で関わりたいと考え、その一つの方法として見つけたのがサッカーコーチでした。
サッカーの指導は厳密にはコーチングとは言えませんが、知識や技術は大いに役に立ちます。
サッカーを教えるといっても、全員にサッカー選手になってほしいと考えているわけではありません。
チームの子供達全員がサッカー選手になりたいと考えているのであればそれでも問題はないと思いますが、こちらから一方的に押しつけることはあってはならないと私は考えています。
コーチングも同じで、ゴールは本人が設定するのが基本です。
コーチングとは人生を豊かにするものであり、押しつけることではありません。
コーチ(他人)が設定したゴールで生きていくことは、設定した瞬間に本人の人生ではなくなるリスクが出てきます。
親が子供に「こうなりなさい」と言って教育するのと同じです。
私が担当しているのは小学校低学年ですので、これからゴールを見つけていくぐらいで十分です。
知識が少なく抽象度が低い状態で設定したゴールは、スコトーマがたくさんあってリスキーなゴールです。
そのため、私の現在の役割は、「サッカー以外のことも含めた子供達のwant toのエネルギーを引き出す」、「子供達にたくさんの成功体験をさせる」であると考えています。
バランスホイール的に考えると、子供達の人生においてサッカーだけで考えるのは抽象度が低いです。
しかし、どのようなはたらきかけも何らかの抽象度で影響が出るため、サッカーの指導によって学校の勉強を上手くいくようなはたらきかけは可能です。
ゴールの視点からこれらが私の役割になっています。
もちろんゴールの再設定により今後は役割が変わってくるかもしれません。
練習の内容で気をつけていることはたくさんありますが、一つは子供達のスコトーマをなくしていくことです。
例えば、サッカーを習っている子供の多くは、ボールを持っていないときのプレーはスコトーマになりがちです。
サッカーの試合では、通常1人がボールを持っている時間はボールを持っていない時間よりも短いです。
プロの試合であれば、22人の選手に対してボールは1つです。
これはサッカーを知っている方なら当たり前のこととして理解できることです。
しかし、練習ではボールを持った練習が中心となり、試合形式の練習をしても全員がボールだけに集中しがちです。
ボールを持っていないときのプレー、例えば、パスをもらいにいく時の一瞬の動き方なども身に付けないと、どれだけボールを持った時のプレーが上手であっても、ボールをもらえなければ話になりません。
正確なパスを身に付けるのと、パスをもらいにいく時の一瞬の動き方を身に付けるのとでは、パスの技術を高める方が時間がかかりますので、極端にボールを持たないプレーの練習を増やせば良いかどうかは別の話ですが、選手にとってはスコトーマになりやすいのです。
これを子供達に言葉で説明しても中々伝わりません。
非言語で伝えていくことで、自主的な理解を促しています。
サッカーが上手くなるためには、ボールを持っていない時の練習も必要です。
更に抽象度を上げていくと、サッカー以外のことをしている時間もサッカーの上達に役に立てることが可能です。
例えば、学校の算数の授業で習う足し算や引き算は、サッカーでも役に立ちます。
状況にもよりますが、1人のボールを持った選手に対して2人のディフェンスがいれば、他の選手にかかるディフェンスの数が減るため、どこかでチャンスができている可能性があります。
それを活かすには、顔を上げて視野を広げる(抽象度の高い視点)必要もありますが、算数ができればこれがチャンスであることを理解できます。
セルフトークのコントロールなんかはまさにそうで、サッカーはもちろんそれ以外にも非常に役に立ちます。
サッカーとは全く関係のないことをしていても、サッカー上達のための時間にすることは可能ですし、逆にサッカーの練習を例えばゲームの練習にすることも可能です。
ゴールによって認識が生まれるので、ゴールがあればそれは可能です。
サッカーは激しい運動をしますが、頭の中でプレーを組み立てるため、身体だけではなく頭も疲れます。
内部表現の書き換えが効果的な場面もたくさんあります。
私が教えている小学校低学年の子供達は、全員サッカーが上手になりたいようですので、先ほどの算数のように、サッカーという重要性から他のことにも目を向けるようなはたらきかけをしています。
もちろん強制はしません。
強制されると反発しようとするマインドのはたらきがあるからです。
基礎レベル向上という目の前の課題があるため、基礎練習を子供達にやってもらおうとしたことがありますが、集中が続きませんでした。
単調な練習は子供達にとっておもしろみがなく、せっかくのwant toがhave toに変わってしまうのです。
「練習がおもしろくない」ということを子供達が言うわけではありませんが、他の学年の練習が気になったりと反発するマインドのカラクリがはたらいてしまいます。
大人も同じですが、エネルギーが出るのはwant toであるからこそなので、最近は方針転換しています。
子供達が大好きなのは試合形式の練習です。
そのため、試合形式の練習から基礎の重要性を学んでもらったりしています。
他のチームとの練習試合でパスが中々繋がらないことがあったのですが、その試合直後に、作戦ボード(サッカーコートに見立てたもの)を使って内容を説明してみると子供達はいつになく真剣でした。
試合に勝ちたくてみんなたくさんの意見を出してくれます。
翌日の練習で、作戦ボードで説明した内容を基に、パスをもらいにいく動き方を教えてみると、その後の試合形式の練習では実際にチャレンジする子供が出てくるのです。
全員ができるわけではありませんし、一度教えただけではすぐにできるようにはならないだろうとも思っていました。
ところが、その翌々週の練習の日だったと思いますが、一度教えただけのパスのもらい方を実践している子供がいました。
その子供に聞いてみると、子供達が自主的に作戦会議をして練習で実践していたようです。
最近では基礎的なパスの練習がしたいと口にする子供も出てきました。
このことからも、本人が重要性を理解して取り組むことが大きな学びになると改めて感じました。
何らかの方法で間接的にいじめ問題などを解決していくことは可能だと確信し、現在もサポートを続けています。
緊急事態宣言で小学校が使えなくなることもあり、練習量は例年と比較して減ってはいますが、私以外のコーチも驚くほどに子供達は上達しています。
そんな子供達からは私もたくさんのエネルギーをもらっています。
私がサポートしているチームは、過去の実績からはお世辞にも強いチームとは言えません。
しかし、コーチングでは過去は一切関係がありません。
子供達の未来にフォーカスします。
低学年の内は大きな大会はないようですが、他のチームとの練習試合では勝てるようになってきており、実績も出始めています。
目立った成績がまだないため、大きな成功とは言えないかもしれませんが、これからの子供達の活躍が楽しみですし、私自身もwant toのエネルギーで溢れていることが体感として得られています。
ということで、かなり具体的な内容に触れながらコーチング活用例を紹介してみましたが。この記事が多くの方の人生にプラスになれば嬉しく思います。
下記のインスタグラムで、サッカーコーチとしての情報発信をしていく予定ですので、よろしければのぞいてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。