鈴木 翔太
【解説】抽象度
更新日:2021年8月10日
この記事にアクセスしていただきありがとうございます。
この記事では抽象度について解説してみたいと思います。
抽象度という概念を理解するだけでも世界の見え方が変わるぐらいのインパクトがあると個人的には思っていますので、最後までお読みいただけると嬉しく思います。
抽象度(Levels of Abstraction)とは分析哲学の用語で、簡単に言うと物事を抽象化する度合いのことです。
例えば、チワワを抽象化していくと、チワワ→犬→ペット→動物・・・となります。
これは抽象度が高くなっていると言えます。
抽象度が上がると情報量が少なくなっていきます。
犬と言った時に、犬の種類が何なのかはわかりません。
チワワよりも犬の方が情報量が少ないためです。
では、これが物理的な世界にどのように影響を及ぼすかというと、チワワが好きな人はチワワに関しての情報が入りやすくなりますが、チワワ以外の情報は認識しづらくなります。
犬が好きな人はチワワだけではなく他の種類の犬の情報も入りやすくなります。
これはもちろん犬に限ったことではありません。
例えば、音楽の場合、どこかで聞いた曲が好きなアーティストの曲であれば、アーティスト名や曲名をすぐに認識することができます。
そのアーティストはよく知らなくても、その特定の曲だけを認識する人もいます。
どこかで聞いたことがあるという程度の認識かもしれませんし、この曲知ってる!という認識かもしれません。
これはマインド(脳と心)の話ですので、誰もが同じような認識をするわけではありません。
抽象度が上がれば情報量は減りますが、潜在的な情報量は増えていきます。
そのため、抽象度が高ければ高いほどより多くの事が認識できるようになります。
犬について知っていれば、種類がわからなくても犬であることはわかりますし、気になるようなら調べることも出来ます。
小さい子供であれば、家で飼っているチワワのみを犬であると思っていることもあるかもしれません。
音楽や犬の例であれば、あまり役に立つように思えない方もいるかもしれませんので、もう少し他の例で考えてみましょう。
経営者が、当期の計画だけではなく5ヶ年計画や10ヶ年計画といった中長期的な計画を立てるのは、将来的な不確定要素も考慮した上で会社の方針を決めるためです。
これはまさに抽象度が高いという良い例です。
"今の会社が5年後はこのようになっているからこれをしよう"ということだけではなく、外部要因も考慮しなければなりません。
5年間に世の中で何が起きるのかを知る必要があります。
そのためにメディアや書籍などで知識を蓄積している人は抽象度が高く、経営計画に反映させることが可能になってきます。
つい最近のことですが、友人が結婚したため、ご祝儀を用意していた時にふと思ったことがあります。
通常はご祝儀袋を用意し、筆ペンで名前などを記入します。
その時に、この文化はいつまで続くだろうとふと思ったのです。
近いうちに電子化されてしまうだろうと。
もしそうなると、金封を作っている丸愛などのメーカーがいち早く対応するのだろうか?といった考えが巡りました。
弔事の場合はいきなり電子化システムが採用されることはないでしょうが、祝事の場合は電子化が加速する可能性があります。
これから結婚するのはスマホを使いこなす世代でしょう。
そういった社会が何年か後に待っているとすると、金封メーカーは抽象度の高い視点が必ず必要になってきます。
金封メーカーが電子化システムを構築するかどうかは別として、今まで売れていたものが売れなくなるということは利益を確保できなくなっていきますから、別の商材を作り上げていく必要があります。
もちろん、金封だけを製造しているわけではありませんが、多少の影響はあるでしょう。
抽象度の高い視点により、このような視点を中長期の計画に反映させていくことが可能です。
もちろん、自ら仕掛けていくことも可能です。
では抽象度が低いとどうなるでしょうか。
ご祝儀を贈るのは文化だから金封がなくなることはない、というような今までの知識が邪魔をしてしまうことがあります。
現状を維持していれば良いという結論に至った結果、他の企業に市場を奪われてしまいます。
実際に、一ヶ月後ぐらいに見た、コロナ禍でフォトウエディングが流行っているというニュースには、電子送金のシステムが紹介されていました。
こうなってしまうと時既に遅し、抽象度が高い視点が必要です。
もちろん、抽象度が上がると曖昧性も増しますので、絶対的な正解かどうかはわかりません。
しかし、未来に目を向けた抽象度の高い視点こそ現状打破に繋げることができます。
特に現代社会は変化が激しいので、抽象度の低い視点は大きな損失に繋がりかねません。
ではどのように抽象度を上げていけばよいでしょうか。
私が有効性を感じているのは、目の前の世界から何か一つを取り出し、その縁起について考えてみるというワークです。
苫米地博士の書籍でも紹介されているワークです。
例えば、今私の目の前には1本のボールペンがあります。
ウォーターマンというメーカーのボールペンです。
このメーカーはフランスのメーカーで、製造もフランスで行われています。
フランスの工場で働いている人やその人の両親、メーカーの歴史や他のペンの種類など、このようなことを考えてみると、どんどん世界が広がっていきます。
これにより、一つのペンにメーカーの歴史やペンに対しての知識が伴って抽象度が上がりますし、物事を抽象度高く認識する癖がついてきます。
知識を付けることは抽象度が高くなりますので、生涯をかけて学習していくということも重要です。
抽象度を理解すると世界の見え方が変わるという理由がなんとなくでもご理解いただけたのはないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。